少子高齢化社会とガーデンファーム

駒ヶ根ガーデンファーム構想への提言―その7
2001年11月16日、その後加筆
小 原 茂 幸

ガーデンファームとはガーデニング(庭)とファーム(農園)による村興しです。
一戸一戸の家庭(農家)が庭と畑を美しく整備する事により、
地域全体に美しい景観を創造しようとする運動です。

文化は人によって作られ、風土によって育まれます。
「一つのテーブルに爺ちゃんが居て、孫が居る」
かつてごくありふれた風景が変わりつつあります。
農村には人間が居て、家畜が居て、野生の動物が居ました。
つい十数年前までの当たり前の姿が見られなくなりました。
生産の場があり、命の誕生があり、生きるものの定めとしての死がありました。
食することの工夫があり、豊作への祈りがあり、
豊穣への感謝のお祭りがありました。
自然からの恵である「食」と、
自然への感謝の意を表す「芸」があり、
自然への畏敬から生ずる「祈り」がありました。
かつて地方には、風土に根差した独自の文化がありました。

現在の日本人の人口1億2600万人。
日本人女性の平均出生率は1.47人から1.30人まで下がってきてしまいました。
一説に拠ると、このまま行けば100年後の2100年には、
日本の人口は6000万人ほどに減少するそうです。
一方、日本人の平均寿命は世界トップレベルであり、
高齢化社会がいち早く到来します。
現在65歳以上のお年寄の比率は5パーセント、
2050年には30パーセントを越えます。
少子高齢化、避けて通れない社会現象です。

ガーデンファームは地域の自給自足を進め、
地域にやりがいを提供し、地域の文化を高めます。
食は故郷にあり、食は文化です。
かつて地域に根差した、地域独特の食材がありました。
それぞれ固有の文化を伝承し、
育てていくためにも先人の見地と知恵を伝える場を作りたい。
さらに高齢者の生きがい造りの場ともなります。

日本には数百種類にも及ぶ家紋のデザインや、
からくり人形にみる、物作りの文化がありました。
着物という民俗衣装一つとっても、複雑な文化が見られます。
俳句、短歌、生け花、盆栽、
お花見、紅葉狩り、お月見、雪見、
能(劇)、歌舞伎、浄瑠璃(人形劇)、
自然と融合した独特の文化があります。
これら伝統文化を継承し、更に発展させていきたい。

人々が行き交い、お互いを訪ね会えば、
「おもてなし」の心が生じます。
他人に良くしようという心です。
美味しい料理や、美味しいお酒。
盛り付ける器や、食の場にも工夫がなされる事でしょう。
伝統文化が息づいてきます。
新しい出会いがあり、感動が生まれます。
さらに、美しい景観が人の心を和ませます。

ヨーロッパは何回行っても良いといわれます。
伝統文化があり季節に応じた姿があります。
春夏秋冬それぞれ訪ねて見たくなります。
そこにはストーリーがあるからだといわれます。
アメリカはイベント国家です。
大統領選挙は最大のイベントです。
物を造る、飽きたら壊してまた建てる。
マクドナルドハンバーガーは、季節にこだわらず、
いかなる場所、いかなる時間であっても、同じ味にこだわり続けます。

伝統文化、これは先人から新人が受け継ぐものです。
伝統行事を復活させ、
独自の食文化を発展させ、
伝統文化の継承発展を図りたい。
伝統芸能の後継者を作り、日常生活と芸術活動が融合した街を創りたい。

子供に夢を、高齢者に生きがいを、
青年に努力を、中高年者に決断を!

ガーデンファームは地に足をつけ、
自然のサイクルにしたがい、
四季を感じ、心豊かに暮らす場を提供します。







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