振り出しに戻った合併協議



伊南地域合併によせての提言―その3
2003年12月10日
小 原 茂 幸

▽各市町村が独自に行った住民アンケートの結果が出揃った。 宮田村は圧倒的多数で、合併反対。 飯島町、中川村も、合併反対どちらかといえば反対が、賛成を上回った。 駒ヶ根市だけが合併賛成どちらかといえば賛成が、過半数を超えた。 アンケートはアンケートであって、現時点での住民の気持ちと、 言いかえれば合併問題の理解度を示していると言える。 今、地方が直面している状態は、あの市長が好きだ嫌いだ、 役場職員の対応が良い悪い、公共施設が多い少ないなどのレベルで、 本来は議論する段階ではないはずだ。 地方の存続がかかっている。 財政基盤をどう構築するかの切羽詰った状態にあるというのに、 好き嫌いの理論では虚しさを感じる。 はたして、合併をしないということは町村が自立した道を選択するということだが、 自立できる方策を持っているのだろうか。 そして結果として自立は可能なのだろうか。

▽国の財政が700兆円に及ぶ借金財政の中、特に中川村などは、 過疎債、地方交付税が止まったとき、どのようにして財政を組みたてるのだろうか。 税金を徴収しようとしても、課税対象が少ない町村においては、徴収のしようが無いではないか。 合併すればサービスが低下するというが、仮に合併しなければ行政職員の数を半分にしても、 サービスは成り立たない状態に追いこまれるのは必至である。 合併問題は無駄な経費を削減する事は当然であるが、肝心なことは自立した地域を構築するための手段であり、 極論を言えば、国が破産してもやって行けるだけの財政基盤を、 今のうちに、まだ元気がある内に、自らが作り上げる事を求められているということに他ならない。 そのための手段として、近隣の市町村が合併して議員、組長の数を減らし、 役場職員の減数及び再配置を促し、行政の効率化を図ると共に、自立できる財政基盤を、 元気のある地方の創造を促そうということであり、そのための準備資金としての合併特例債である。 特例債とて、国が破産するかもしれない状態では、予定通り継続して供給できるという保証は無い。 いまさら700兆円の借金の責任問題を追及しても過去の祭であり、地方は自らの力で自立できる方法を模索するしかない。

▽一人で50kg持上げられるとするならば、4人そろえば200kgの神輿を担ぐ事が出きる。 一人で見る夢より、4人で見る夢の方が大きなものとなるのは、自明の理である。 財政赤字といえば、まずは経費の削減であるが、借金を返すには収入を上げて稼がなければ返済はできない。 より多くの収入を上げるためには、みんなで力を合わせ、智恵を出し合い、汗を流すことが肝要である。 それぞれが持っている個性や能力を手段として、みんなで立ち向かうしかないのである。 一人でできることは所詮知れている。 ましてや人口1万人以下の村や町において、福祉、環境、文化、社会基盤、どれ一つを取ってみても、 単独で提供できる可能性はきわめて薄いと言わざるを得ない。

▽幸か不幸か合併審議は1年間延長された。 だがこの間にも国の借金は増えつづけ、交付税の減額、合併特例債の特例すら危うくなりつつある。 繰り返して言うが、合併は地域の財政基盤を再構築するためにあると思う。地域造りは人造りである。 国民は国民のレベルに応じた政府しか持てないとするならば、 住民は住民のレベルに応じた議会や自治体しか持てないということになる。 住民が井戸の中の蛙に終始し、情報収集能力を捨て、他人任せで、閉鎖的になればなるほど、 自立の道は閉ざされて行く事だろう。 少子高齢化が加速度的に進む中で、自分の家の前の雪は自分たちでかかざるを得ないのだが、 高齢者ばかりでどこまでかけるというのだろうか。 本当にこれでやって行けるのだろうか?


(参考意見)
■中央アルプス連邦の創設
伊南4市町村(駒ヶ根市、飯島町、中川村、宮田村)の合併協議に、 一応の結論が出されようとしています。 11月末に行われたアンケートの結果が発表されました。 駒ヶ根市以外は、合併反対が賛成を上回りました。 せっかくの地域の財政基盤を構築する機会は、失われようとしています。 「名前」が大きく作用したものと感じます。 国が700兆円に及ぶ借金を背負い、少子高齢社会を迎える中で、 地方交付税がいつまで分配されるかはわかりません。 いずれにせよ、足腰をきたえ、自立した道を歩まねばなりません。 そこで、提案です。 伊南4市町村での、連邦都市の創設です。 連邦事務局を創設し、役場業務を業務委託(アウトソーシング)します。 各市町村議会から連邦議員を選出し連邦議会を創設します。 連邦議長は、住民による直接投票で選出します。 すでに伊南行政組合が稼動しています。 地域の生き残りの為には、地域が連帯して取り組まねば、難しいと感じます。 地域の生き残りの為にはマネージメントが必要です。 名前を残し、さらに協力して生き残りを図るために、 日本で最初の連邦都市の創設を考えてみましょう。 ・・・・・、とまあ、夢を描いてみました。 (S.Ohara)









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