topics(記述:1997/4/16)
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有線放送電話にインターネットを接続
通信料金の定額制が実現!
「いなあいネット」なら
月額1800円で24時間テレホーダイ!!
(有線放送電話は放送を主体としたメディアです。定時放送、緊急放送は静かに聞きましょう。)
インターネット、パソコン通信を行う上で、 アメリカ合衆国等に比較して、日本の通信料金の高さはしばしば問題になっています。 ところが、長野県の伊那市では インターネットの接続通話料の完全定額制が実現しました。お問い合わせ先 [いなあいネット]
伊那市は駒ヶ根市に隣接する人口63000人余の市です。 ここにあるIHK伊那市有線放送農業協同組合(通称「いなあいネット」)では、 このたびインターネットへの接続を開始しました。
有線放送はかつて「有線放送電話」として、 農村地帯を中心に通話と情報伝達の手段として利用されてきました。 「有線放送電話」に関する法律が設定されたのは昭和32年8月のことでした。 本年で40周年を迎えることになります。 かつて電電公社(現NTT)の電話を簡単には引けない時代、 農村の生活向上と情報伝達の手段として、 一本の回線を複数の家で使用する「有線放送電話」が設立されました。 その運営のほとんどが、農協や自治体によるものでした。 一般の電話と大きく異なる点は、原則として加入者間だけの通話に限られること。 営業範囲は同一市町村内に限られること。 一定の時間帯に「定時放送」が流されること(通話専用線を引くことは不可能)の3点です。
長野県においては、最盛期の昭和38年には161の有線が活躍していました。 しかし、その後の公社の電話(NTT)等の普及によって、 その多くがオフトーク、CATV、同報無線への変換を余儀なくされたのでした。 (駒ヶ根市では近年、行政も参画してCATVに変わりました。) 現在、長野県においては最盛期の半分以下の78の有線が活躍しています。 とはいえ長野県は有線放送の加入者が約20万世帯。 ダントツで日本一の「有線王国」なのです。 (第2位は滋賀県で約30ヶ所。)
昭和61年伊那谷初のCATVが民間企業によって伊那市で産声を上げました。 そのため伊那市有線放送はCATVへの道を取らずに、 それまでの形態のままに運営されてきました。 しかし平成7年3月、通信手段としての生き残りをかけて、 総額16億円を超える再投資を行い設備の更新を行ったのでした。
内容としては、 回線の「単独化(市内専用線相当の施設)」を実現し、 NTT等との接続のための高規格のデジタル交換機を設置し、 8つの支局を設け、局間の中継幹線には光ケーブルを採用し、 完全デジタル化を行ったのでした。 放送の面においては1チャンネルだったものを 19チャンネルの放送が可能なものに入れ替え、 NHK-FM、FM−長野、ミュージックバードのPCM音楽放送(8CH)、 行政・公民館チャンネル、JA上伊那関係チャンネル、NHK第一、信越放送、 レコードチャンネル、カルチャーチャンネル、 お知らせ、等々の放送利用が可能となり、BGMとしての利用も図られました。 建物も全面改装し、現在の「いなあいネット」が完成したのでした。 そして、同年4月からは0発信によってNTTとの接続業務も開始されました。
ところが平成8年、全国的なインターネットの急速な普及の中で、 ネットワークの広域化の方向に合致し、 思わぬ脚光を浴びることになりました。
同年8月、伊那市内にインターネットプロバイダーの アクセスポイントが設置されたことを契機にして、 0発信により接続が可能なことが実証されたのです。 「いなあいネット」では以前から利用料金は定額制でした。 月額1800円(税別)で、いわば24時間テレホーダイの状態でした。 市外接続はできないという制約があるにせよ、 同一MA内にあるインターネットのアクセスポイントにつなげば 通話料金が定額での利用が可能になるわけです。 この利点に着目して、伊那市内のインターネットの研究会 (INAJIN ) と連携を図り研究を重ね、 放送局内に直接アクセスポイントを設置することが検討されました。 そして、2つのプロバイダーの協力が得られることになりました。 その結果、基本料金以外に通話料が別途付加されることは無く、 インターネットに使用しても接続通話料は完全定額制となったわけです。 (但しプロバイダーへの契約及び利用料金は必要となります。)
平成9年4月15日は「いなあいネット」にとって記念すべき日となりました。 この日「あいネット」の施設内に2つのプロバイダーのサーバーが設置され、 有線放送局内のPBX(デジタル交換機)と直接接続されました。 回線数は各10回線。 民間のプロバイダーが有線電話局内にサーバーを設置したことは、 全国でも初めてのケースだそうです。 サーバーを設置したプロバイダーは 「Infovalley」、 「JANIS」の二つです。 「inafovalley」は(株)富士通長野システムエンジニアリング、 「JANIS」は(株)長野県協同電算の運営です。
パソコン通信、インターネットの時代になり、 すでに過去のものと思われていた「有線放送電話」が ここに来て脚光を浴びることになったわけです。 あらたな情報ネットワークを構築する中で、一つの方法が見出されたのです。
現在、「いなあいネット」の端末数は約8900台。 平成8年4月、南箕輪有線放送と相互接続(業務委託)提携したことで、 端末数は10000台を超えることになりました。 その結果、長野県下でも最大規模の「有線放送電話」となっています。 ちなみに、 かつて市街地は「有線放送電話」の対象にできない地域だったのですが、 昭和60年からは、その規制は廃止されています。
IHK伊那市有線放送農業協同組合「いなあいネット」は、 昭和31年伊那市富県でまず設置され、 その後市内の各地区にネットワークを広げ、 本年、平成9年創立40周年を迎え、 新たな時代の幕開けとなったのです。
『いなあいネット』の特徴
・個人宅まで市内専用線相当の施設
・NTTへの0発信
・通話料金は定額制
・プッシュ回線
・キャッチホン機能
・市販の電話機器(コードレス、ファックス、PC通信モデム等)は全て使用可能
・選択して聞ける19チャンネル放送(ミュージックバードからのPCM音楽放送等)
・身近なページング放送(グループ放送)
・緊急放送時の自動音量アップ(伊那市の同報無線との連携)
・定時放送(告知放送、暮らしの情報、告別式案内等)
●伊那市有線放送農業協同組合:TEL 0265−78−3215
住所:長野県伊那市境東1420
● infovalleyによる「あいネット」への接続の方法。
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